早期退職後、Uターンして田舎暮らしを満喫する鳥取県日南町の後藤さん。
ご夫婦で田舎暮らしを楽しんでいる様子は、多くの人の憧れともいえる。
いっぽうで、難しさを抱えているのは、立ち上げて8年ほどの農業法人における経営。
こうした現状も含めて、半農半Xや、今後の暮らしについて語ってもらいました。
(後藤さんのFacebookより画像を引用させてもらっています)
Uターンしたキッカケは?
日本電信電話公社(略称:電電公社、現:NTT)にて、現場から事務、支店の経営管理、開発など様々な職を経験してきたなかで、1985年に民営化の流れへ。
事業縮小となり、東京への出向がきまる。
国立大を卒業したばかりの25歳ほどの若者が「会社に固執することなく、新たなスキルアップを求めて全く別の分野に飛び込む」といった状況を目の当たりにし、まさにカルチャーショックだったという。
そして、営業部の課長という立場で、ノルマに押しつぶされる日々が続いたときに思い浮かんだのが、ふるさとの風景。
なんとかしたいと感じた。
53歳で早期退職し、ふるさと日南町へ。
まず取りかかったのは家づくり
後藤さんのご実家を改築し、木の香る家をつくるという夢の実現にむけて動き出した。
設計士さんと何度も打ち合わせを重ね、驚くことに手作業で解体をされている。
後藤夫妻の思い入れがたっぷり詰まった理想の家。
訪れた人、みなが「素敵なおうちですね~」から始まって、家づくりのお話を聞きたくなるのも納得です。
好きなことが原動力に
後藤さんの暮らしぶりは…というと、まさに「田舎暮らしのプロ」。
ご夫婦で、四季を楽しみながら丁寧に自然と向き合い、暮らしを楽しむ様子がみてとれるほど。
(もちろん、見えないところで、たくさんのご苦労があるはずです)
写真は、後藤さんがカナダ旅行でヒントを得てつくられた薪アート
ピザ窯をつくったり、薪アートや、ロケットストーブ、など、ご自身の興味のおもむくままに、モノづくりを楽しみながら田舎ライフを満喫されています。
いろんなラベンダーを試して根付いたのがこちら。
ちゃっかり摘み取り&ご指導をうける図。
単に田舎暮らしを楽しむだけでないのが、後藤さんご夫婦のスゴイところ。
車いすのお年寄りでも、草花や野菜を栽培する楽しみをもてるようにと、高床式のガーデニングを提案。
福祉施設を定期的にまわって「園芸福祉活動」も長く続けられている。
ほかにも保育園の田植えサポートなど、地域貢献を常に考えながら活動しているのだから尊敬です。
そして、納屋のリフォームをして「ものづくりワークショップ」ができるようにしたいんだよ。
まさに、後藤さんはいろんなところに行かれるから、アイデアが豊富なんですね~(尊敬)!
自分でもやりたかったが、石を切るということ自体が難しくて挫折した…
やりたいことは山のようにあるのに、年をとってきたせいもあり、なかなかうまくいかない、と話してくれました。
とくに、後藤さんが気がかりなのは農業法人の経営について。
自分が法人の代表になるとは…
組合をつくって、集落の田畑を協力して管理していこう!と、最初はみなが協力してくれたのだけど…メンバーも、だいぶ年をとってきて草刈りなど参加できなくなってきているんだそう。
定年になる年齢も伸びており、元気な働き手もみつからない。
できるメンバーだけで、なんとか頑張っている状況。
このまま小さな集落のまもってきた地域農業が潰れていくのは悔しい。
機械についても、老朽化がすすみ買い替えを検討しているが、補助金がとれない。その理由は農地の規模が小さく、機械の大規模化ができないため。
こうした現状維持だと補助金は通らない。
30馬力のトラクターしか必要ないから、無理に大きな機械を買うことができない。となれば、自費で買うしかないが資金がない…という悪循環。
永遠の課題!冬場の稼ぎをいかに生むか
冬場の仕事もなく、売り上げがないのも問題。
法人立ち上げの時に、業務内容を農業・林業(シイタケ栽培)としていることもあり、ほかの法人のように除雪作業は請け負っていない。
兼業農家は「半農半X」といえる?
よく言われる「半農半X」、そう簡単なものではないという話で盛り上がりました~。
そうなると、理想的な「半農半X」ではなくなってしまう。
農業が主体で、ほかの収入源がある暮らし方だとバランスがいい。
ただ、農業も収入が安定するかというと厳しいものがある。
自分の趣味や特技を生かしながら、複数の収入源があるとよい。
藍染のワークショップをはじめ、お遍路さんの接待体験、ヤギとお散歩、にわとりの卵とりなどなど、ユニークな体験メニューがじつに40種類以上!
田舎の良さを体験してもらうようなワークショップは、わたしも今後のやりたいことのひとつ。
I・Uターンが地域をうごかす
けっきょく、外にでたことのある人間、外から来た人間は、この地域をもっと良くしようという意欲が高いし、アイデアも持っている。
農業やモノづくり、田舎暮らしに関心の高いひとを、どんどん外から集められると好循環がうまれ地域が活気づくと思う。