異業種の自動車関係の職種でながくはたらき、地元の鳥取県日南町にもどってきた農家10年目の前田昭彦さん。
地元をもりあげる存在として、注目されている。
地域をまきこみながら、活躍の幅をひろげていく前田さんの「挑戦の裏側」をインタビューしました!
今後は法人化の構想もあるとか?じっくりお話をきいてきましたよ。
地元の田んぼを守りたい
高齢化がすすみ、若者がすくない過疎の町。
前田さんのご実家がある日南町日野上地区では、専業米農家もおらず、集落営農も機能していない。
そのため、1軒1軒それぞれに小さな田畑をまもっている状態だが、耕作放棄地になりつつある現状も目の当たりにしていた。
いまから10年後を考えると、そうした状況にますます拍車がかかるだろう。
地元の方の想い「じぶんちの田んぼでとれた米が食べたい」
農協に米をだすと、どこで作られた米なのか分からなくなってしまいますもんね。
そのため精米も、一軒ずつ分けることで、喜んでもらっている。
就農して10年目のいまでは、自分にしかできないという使命感をもって農作業を請け負い、地域から頼りにされる存在になっている前田さん。
じつは、農業をするためにUターンしたわけではなかった。
Uターン就農のキッカケは?
会社員として自動車関係のしごとをしていた前田さん。
昇進もして、給料もふえたけど、お金をつかう時間もなかったほど…なんのために働いてるのか分からなくなってしまった。
自分がいくら業績をあげても、利益や評価はすべて会社のもの。
このままでは、仕事のこと以外を考える余裕もない…と仕事をやめて地元に帰ってきたんですね。
実家の田んぼの手伝いから始まり、気づいたら…
手伝いのつもりで、実家の田んぼ3反を。
気づいたらまわりから頼まれることが多くなり、5反が1町に、1町が5町にと増えて…
収入がキツイ頃もあった?
就農して間もないころは、収益も年間100万以下で、深夜の仕事をかけもちながらの日々。
ほかの法人が請け負っていた作業委託の仕事を、強引に奪いに行くような仕事の仕方をしてしまったことも。
なるべく対立を避け、もめずに仕事がもらえるようにするにはどうしたらいいのか?と悩んだ。
ボランティアで地域を盛り上げる
地元の保育園の園児たちが、田植えから刈り取りまで体験できるよう、日程をくんでいます。
いっしょにコンバインに乗るのが楽しくて目を輝かせる子も。
3児の父であるからこその想いも重なり、協力依頼をうけさせてもらった。
ボランティアは遠回りのようで近道?
これを機に、保育園の給食につかうお米を、発注してもらうことになったそうです。
まさに、園児たち自身が関わったお米をたべる「食育」ですね。
こうした取り組みは、町のケーブルテレビやFacebookで発信してもらったこともあり、他の地域からの作業委託やお米の発注も増えているんだとか。
Uターンして10年、今後の展望
節目とも言えるUターンして10年という今。
失敗も成功もじぶんのえらんだ道、後悔なし。
これからの農業に必要なのは情報共有
農業で足りないのは、情報共有。
ほかの農家の取り組みが見えずらいから、自分のやってることが「どの程度のものなのか」知る機会がない。
情報共有できたら「あんなに頑張ってるひとがいるのか」と励みになることもありそう!
自営業になると、どうしても成長にどん欲になれない時期もでてくる。
農家同士がはげましあって、お互いに良い関係をつくっていけるのが理想。
今後の展望は?
そんな前田さんも大きな課題に直面している。
それは一人で請け負う農地面積に限界がきていること。
高齢化が進み、離農する方が毎年のように出ている。
かつて綺麗に管理されていた農地の風景が耕作放棄地へと変わってしまうことにやるせなさを感じることも。
担い手が減っていく中、どうやって地域の農地を守っていくか?というのが大きな課題だと話してくれた前田さん。
今後は雇用を創出しながら職業として農業に参加してもらえるように、法人化も視野に入れ、前向きに考えているそう。
晴耕雨読って言葉があるように、晴れの日は精一杯働いて雨の日は本でも読んで自分の糧にする。
そんな働き方ってなかなか出来ないでしょ?
厳しい現実の中でも前向きに未来を見据える前田さん。今後の活動にも期待が高まります。